2021/01/02

[ギターレッスン] Wes Montgomeryのアドリブフレーズを分析しタブ譜と動画で説明します!


Acousphere奥沢です!
ジャズといえば花形はもちろんアドリブですよね。
曲に合わせて素敵なフレーズを自由自在に演奏するというのは誰にとっても憧れのスキルだと思うのですが、そうなれるために”フレーズコピー”という勉強法が大切だと思います。
過去の素晴らしいアドリブプレイヤーが実際に弾いたフレーズをコピーし、演奏できるように練習し、さらにそれを分析してどんな構造になっているのかを解き明かす。
そこからプレイヤーが頭の中で考えていた”コンセプト”を抽出し自分の演奏に活かす。
僕は原点に回帰してWes Montgomeryさんのアドリブフレーズを研究してるのですが、このギターレッスンサイトを通して最近の分析の成果をみなさんにもお伝えしたいと思います。
コンセプトを理解するとみなさんもWesと同じようなフレージングを自分で構築できるようになりますので、ぜひ参考にしてみてほしいと思います!



まずこちらに僕がYouTubeでWesによる”Full House”からコピーしたフレーズを演奏した動画をあげておきますのでご覧ください。



いかかですか?
すこしばかりブルース的な響きもはいった実にWes Montgomeryらしいフレージングです。
ではこのフレーズがどのような構造になっているのか譜例をあげて説明してみたいと思います。



まず最初のフレージングですがIV7にいるときから次にくるコードbVimaj7のアルペジオをはじめています。
ただはじめの音だけあえてb3の音を選択して若干のスケールアウト感を醸し出しているのですが、これも聞こえ方として”アウトしたフレーズ”と聞こえてきません。
ということはWesはこの音さえも”インサイド=コードトーン”と捉えているのではないかという仮説ができます。
その結果導かれたコードは”bVim7”ではないかと僕は解釈します。
とはいえこの瞬間はたった一音だけあらわれてあっというまになくなりますので、ここまで詳細にわたってコードチェンジとしてWesの頭の中で捉えているかはちょっと疑問でもあり、ただのChromatic Approachと簡便に解釈することもできるかもしれませんね。

V7の部分にあらわれるフレーズも基本はアルペジオ(コードトーン)と捉える事ができます。
#9、b9の音も効率よく使われていますがAlterd Scaleとしてのスケール感は感じられず、やはり”コードトーン”として響いているのがよく聴くとわかると思います。
たぶんWesの中では”V7b9#9コード”と捉えていて、b9、#9というテンションノートさえもコードトーンと捉えているということだと見て取れます。

そのつぎのフレーズはIm7の時に弾いているフレーズなのですが、Im7を中心にこの音達を分析するとb3, 5, b7, 9, 11となります。
b3からコードトーンで駆け上がるのが2音続き、そのあとは準Upper Structure TriadとしてのTension b7, 9, 11を狙って弾いて緊張感を出している、ということになります。
しかしこの考え方には無理があるように僕には思えます。
実際に演奏するとわかるのですがこのフレーズは実はbIIImaj7のアルペジオになっており、そこからカウントするとR, 3, 5, 7, 9という風に捉えることができます。
そう考えた方が自然にこのフレージングに到達できるのと、フレーズにテンション感をあまり感じず、”コードトーン””インサイド”という響き方をしているからです。
これは実際に演奏をしてみると実感できると思います。
これをふまえて導けるWesのコンセプトのひとつは”Im7の時にbIIImaj7のアルペジオを弾き、更に9thの音まで拡張することがある”ということになります。


さて更に前のWesフレーズに少し変化を加えてModernなジャズフレーズにしたものが上の譜例になります。
YouTubeでのWesの演奏が聴きにくくてよくわからずふたつの可能性を提示してみたのですが、Chromaticの感じがPat Metheny感を醸し出してしまい、Wesらしさが一気に減少するように僕は感じました。
よって前の譜例がWesらしいものかと思います。

いかがですか?
このような分析眼をもってフレーズを研究することができれば、あらゆるミュージシャンの”感性”をコンセプトとして結実する事ができると思います。
ぜひたくさんのフレーズをコピーするだけでなく分析し、思考をすすめて知的に音楽を楽しんでほしいと思います!
もっと上達したい人は相変わらず東京荻窪Acousphere Cafeにてギターレッスンも行ってますので気軽にお立ち寄りくださいね!
それでは!