2011/12/02

コラム:弦とボディの組み合わせによって生まれる新しい音楽


Editor : Shige Okusawa (Acousphere)

ギターには様々な種類のものがある。
それらは材質やデザインが異なるものであり、それぞれに長所短所を持ち合わせ、音楽のスタイルを決定するのに重要な役割を担っている。
カントリーミュージックを演奏するならマーチンのようなフラットトップギターが似合うだろうし音もマッチする。
ボサノヴァを演奏するならナイロン弦がはってあるクラシックギターがよく似合う。

ギターは長い年月の間にギターのデザインや音色、弦などの相性が磨き込まれて今の形になった。
だから買って来たそのままの状態で弾くのが一番ギターの特性を活かした良い音がする。
そして王道の演奏を行う事ができる。
が、ゆえに過去の偉人達が作った価値観の音楽を継承する以外にすべがなくなってしまうのも事実だ。



自分もクラシックギターを弾いてメロディやアドリブを弾いていた時期があるが、ナイロン弦特有のサステインのない音色はあたたかみは素晴らしいものの、音が伸びないためにどうしてもフレーズが淡白になりやすく、それを補う為にたくさんのノートを次から次へと弾くようになってしまい、「早弾き至上主義」に陥ってしまっていた。
また伴奏で使っても同様にサステインのなさからパーカッシヴな演奏になりやすく、バラードやルバートなどの演奏に踏み込めない時期が長く続いた。
当時はそれを自らの未熟さと認識していたのだが、長く音楽活動をやってきて改めて振り返ってみるとギターそのものによって与えられていた束縛だったように思える。

その頃から少しずつギターというプロダクトの現在の姿に対して懐疑的になってきた。
そう、ギターという楽器はまだまだ未完成形なのではないかと。
懐疑心は好奇心に変わり、ギターというプロダクトに新しい試みを繰り返すようになった。
ピックアップの交換、アクティブ化などなど限りなく現在も試行錯誤を繰り返しているが、もっとも簡単にできて大きな効果を上げたのが「新しい弦の組み合わせ」だった。

既存の組み合わせではない弦を張るという事だけで、ギターは全く新しい側面を見せてくれる。
そしてその新しい音色が魅力的に響き、新しい音楽の創造へと誘ってくれる。
現在Acousphereはアーチトップギターに対してナイロン弦を張ったものをメインにしている。
フラットトップのような急激なピークが無いアーチトップのおかげで、ナイロン弦ギターの短所であるサステインの短さを解消する事に成功した。
おかげで非常に「歌うギター」になった。





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